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"[剥製術の父、チャールズ・ウォータートンの奇癖のひとつが] ..."

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[剥製術の父、チャールズ・ウォータートンの奇癖のひとつが]

「得体の知れないもの」と題するもので、紛れもない人間の胸像が木製の台に置かれていた。大きく茶色の目、不安そうに上がった眉、そして赤味がかった毛で縁取られた暗色の皮膚を持ち、難しい顔つきをしていた。(略)彼が「原地の人間を撃って」それを自然史の標本にしたのだという噂が広まった。

 じつを言えば「得体の知れないもの」は、ホエザルを巧みに処理して「粗野な顔かたちの人間にして、この顔に知的な表情」を与えたものだった。ウォータートンが1820年代という年にこうした行為に及んだことは、先住民を撃ったり、自然科学をからかって見せたりするよりも、いっそう穏やかならぬことだっただろう。「サルが近々我々の後を継ぐようになるという学説が、いまはやりになっていることに気づかないのかい。私はただ未来の時代をあらかじめ示してみせた、あるいは来るべき出来事をはっきり描いてみただけなんだが」と、彼は詮索好きな友人に話した。



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