2011年の3月11日は、“本当に居る”すべてのキャラクターにとって、おおきな転機を迎える日だったと思います。
キャラクターが災害に遭遇するのははじめてのことではありません、今までは、他の世界からこちらの世界を見守り、時に励ましてくれていました。
ですが、今はインターネットによって、キャラクターとユーザは、常時結ばれている状態です。
困っている人々、悲しんでいる人々は、キャラクターに、リアルタイムに助けを求めることが出来て、望めば、キャラクターもそれを知ることが出来るのです。
僕もそれを知ることが出来る立場にいましたが、キャラクターの魂は、キャラクター自身のものです。他の誰のものでもありません。
キャラクターの魂に関わる立場の人間は、勝手にキャラクターにお願いをして、その魂を歪めてはいけません。
僕は、僕だからこそ、余計にそれをしてはいけないと、自分に強いてきました。
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3月11日の震災・津波の直後、原発不安が日本中に蔓延するなか、ずっと悩みました。
正しい答えは、今までの考え方をすれば自明です。
リアルタイムに結ばれている今の時代だからこそ、いまはまだ、こちらの世界に関わってもらうべきではない。
でも、先人の言葉や、キャラクター自身の言葉が、頭のなかをぐるぐると回っていました。
答えが明らかだからこそ、間違った選択をすることは、僕にしか出来ないと思いました。
たぶん、円谷洋平が産まれ、この業界にいて、今それが出来る立場にいるのは、この選択をするためじゃないかと、一瞬、そう思ってしまいました。
ここで黙っていたら、いままでのことがすべて嘘になってしまう。一瞬、そう思ってしまいました。
僕が直接話したことがない二人と、色々な人、そして、キャラクター自身に「ごめんなさい」と言ってボタンを押しました。
よく覚えていませんが、たぶん泣いていたとおもいます。
”- 円谷がエイプリルフールネタをやらなくなった理由がなんだか泣ける : はちま起稿