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"1921年から24年にかけて、デンケは「安い肉の供給」を目指してせっせと浮浪者を殺した。まだ商品開発の段階だったので、屠殺したのはせいぜい50人程度だった。それでも相当に成果を上げ、そろそろ試験的に「デ..."

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1921年から24年にかけて、デンケは「安い肉の供給」を目指してせっせと浮浪者を殺した。まだ商品開発の段階だったので、屠殺したのはせいぜい50人程度だった。それでも相当に成果を上げ、そろそろ試験的に「デンケ牧場のヒュ ーマン・ジャーキー」は市場に出始めていた。卸し業者は飼育場もない農家のデンケがどうしたら肉を売ることが出来るのか不思議に思ったが、デンケの売る肉はとにかく安かったので仕入れを拒む者はいなかった。
 商品開発の過程でデンケは多くの人肉を口にしている。真面目な彼は、子供や女の肉が柔らかいことは勿論、年齢別の肉の性質、味、加えられるべき適切な塩加減等について詳細にメモをとった。この研究は召使いや女中たちには秘密だったが、彼らはデンケのマーケッティング調査の犠牲になった。彼らの食事には必ず「商品」が供され、食後にはアンケートの提出が義務づけられていた。人肉の一般家庭への普及にここまで熱心に打ち込んだ人を私は知らない。いかにもドイツ人らしい、几帳面な人物であった。

 逮捕されたデンケは、間もなくグロスマンと同じ方法で自殺した。独房の中でズボン吊りで首を吊ったのである。
 しかし、几帳面な彼は「仕入帳」を作成していた。そこには素材の氏名、性別、年齢、人種、体重、死亡年月日、仕入にかかった費用に至るまでが事細かに記録されていた。おかげで裁判を経なくても、その犯行の全貌を知ることができた。

 ところで、デンケの事件後、子供たちの間でこんな冗談が流行った。
「世界で一番悪い奴は誰だ?」。
「ハールマン・イッヒ・デンケ」。
 表の意味は「ハールマンだとボクは思うよ」。裏の意味は「ハールマン、ボクはデンケだよ」。(デンケを「思う」にかけた洒落)。



- 悲惨な世界~おかしな肉屋

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