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"先日のこと。僕が会社で昼休みにドラッカーの本を読んでいると、同僚が話しかけてきた。「ドラッカーの死ぬ前に読んだ詩、あれは心に沁みますよねー。」 ちょっと待て。それは何の話だ。「なんかもっと間違おう、とか..."

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先日のこと。僕が会社で昼休みにドラッカーの本を読んでいると、同僚が話しかけてきた。
「ドラッカーの死ぬ前に読んだ詩、あれは心に沁みますよねー。」
ちょっと待て。それは何の話だ。
「なんかもっと間違おう、とか、アイスクリームを食べてリラックスして生きよう、みたいな…」
やっぱりそう来たか。

もう1年近くも前の話になるが、ネット上で「ドラッカーが95歳の時に書いた詩」というデマが蔓延したことがあった。

これは完全なデマであることが明らかになり、ドラッカーファンであるところの僕も、一つ文章を書いて、情報修正に努めた。
ドラッカーは詩を書かない | 九十九式

しかし、デマ情報というのは、拡散するのは早く、遠くまで広がるが、訂正はそれほど広がらない。
おそらくこの同僚も、当時このデマに騙されて、訂正情報を目にしないまま今に至るのだろう。

……と思ったが、嫌な予感がする。念のために聞いてみた。
「それ、ドラッカーの詩じゃないよ。ちなみに、いつ頃それを知ったの?」
「え、そうなんですか? 確か2~3ヶ月前だったと思いますけど。ネットで。」

やっぱりだ。
この「ドラッカーの詩」というデマが流行したのは、先述した通り20112009年11月の話。
同僚がこのデマをデマと知らずに知ったのは、20122010年になってからの話。

さらに嫌な予感がして、当時のデマページを見に行ってみる。

元々の情報ソースは、以前参加したセミナーで初めて聞いたものをウェブ上で検索してという曖昧なものです。誤解を招くような内容を掲載してしまいお詫び申し上げます。

しかしながらこの詩の内容、及び日本語訳は改変が加えられているとはいえ素晴らしいものなので、上記の検証記事と合わせてお読みいただければと思います。
以上、情報として有益だと思いましたので文頭に加筆

以下原文
経営学の権威、マネジメントを作った男と称され、著書も多く世界中で長く読まれているピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)が亡くなる95歳の時に書いた詩。
(以下略)
ピーター・ドラッカー95歳の詩 – Apelog

完全にデマだと判明しているにもかかわらず、とってつけたような注釈文を載せた上で、そのまま掲載している。ページタイトルも『ピーター・ドラッカー95歳の詩』のままだ。

さらにさらに嫌な予感がして、このページについてTwitterでどんなポストがされているのか調べてみると…。

  • ドラッカー95歳の詩を知り読む。http://blog.apecell.com/2009/11/02/id/74 なかなか響きます。どれだけ忙しくて胃の痛い人生を歩んだんだろうこの人は。豆を食い過ぎたのが良くなかったのか。
    yoshimineboiler 2 days ago
  • なんだか心に沁みた ピーター・ドラッカー95歳の詩 – Apelog – http://goo.gl/F4rh
    ichi_twt 25 days ago
  • RT @Rosso_mr: 「もう一度最初から人生をやり直せるなら、春はもっと早くから裸足になり、秋はもっと遅くまで裸足でいよう。」石田純一かも?RT @ken_c_lo: これとか多分高田純次の事を言ってるよね http://bit.ly/9bXhzT
    ken_c_lo Aug 30, 2010
  • これとか多分高田純次の事を言ってるよね http://bit.ly/9bXhzT
    ken_c_lo Aug 30, 2010
  • みてるぅ: ピーター・ドラッカー95歳の詩 – http://blog.apecell.com/2009/11/02/id/74
    ichigohamigaki Aug 1, 2010
  • ぶらうじんぐなう: ピーター・ドラッカー95歳の詩 – Apelog – http://bit.ly/CENEP
    dundubhi Jul 17, 2010
  • この詩は読むとこころにくるな。「ピーター・ドラッカー95歳の詩」 – Apelog http://bit.ly/43kcvX
    fukuku3 Jul 9, 2010
  • RT @west_valley: QT「もう一度人生をやり直せるなら・・・・今度はもっと間違いをおかそう。絶対にこんなに完璧な人間ではなく、もっと、もっと、愚かな人間になろう。」 ドラッカーが亡くなる95歳の時に書いたといわれる詩。 http://bit.ly/vg1bB
    ike0430 Jul 8, 2010
  • わかった私も謳歌するね! わくわくしてくるね! RT @OKshing: ドラッカー晩年の詩。ユーモアがあって、生きる事がやわらかく思える。 → ピーター・ドラッカー 95歳の詩 http://ow.ly/28smT
    kitemita Jul 8, 2010
  • 春はもっと早くから裸足になり~のくだりが良いですね QT @pitagora0905: もし人生をやり直せるのならhttp://blog.apecell.com/2009/11/02/id/74 私ももっと外に出たい。ところで外ってどこだろ…と考えてる時点でまだまだ
    s_mzsk Jul 8, 2010

Twitter Trackbacks for ピーター・ドラッカー95歳の詩 – Apelog [apecell.com] on Topsy.com

全然訂正が役に立っていない!
あの記事は、デマが明らかになった後に、検証記事(サイコドクターぶらり旅 – 「95歳の老人の詩」の本当の作者)へのリンクと合わせて訂正文が冒頭に追加されたにもかかわらず、それからずっと誤解を再生産し続けているのだ。この人達は、訂正文を読み飛ばして、タイトルと「ドラッカーの詩」本文だけを読んでいる。冒頭に出てきた僕の同僚もその1人である。

このデマについて、
「詩の内容がいいんだから、別に誰の詩でもいいじゃない」
という人がいるが、これは大きな間違いである。
この詩の内容が文学鑑賞的にどうかはおいておいて、ドラッカーが生前に残した偉大な著作の主張とまったく似ても似つかない代物であり、そもそもドラッカーの詩でないことは間違いない。
それを、「しかしながらこの詩の内容、及び日本語訳は改変が加えられているとはいえ素晴らしいものなので、」
等という分かったような分からないような注釈をつけたままで、『ドラッカーの詩』というタイトルでWeb上に掲載したままというのは、非常に問題のある行為と断定せざるを得ない。

くだんのブログは、この記事を最後に、更新が止まっている。抗議をしようにも、連絡先がない。
かくして、ドラッカーにまつわる不名誉なデマは、これからも拡散され続けるのだろう。

ネットのデマは、燎原の火のごとく一気に広まるが、たとえ鎮火しても、情報を訂正するのは容易ではない。火が消えた後には、不毛な焼け野原が広がるのみなのだ。



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ネットのデマは修正できない 「ドラッカーの詩」 | 九十九式 (via petapeta)

こういうのがネット含めpublishされるものがもつ負の側面かと.
この手の話を聞くたびに、デマの修正を情報処理技術でフォローできたらなと考えてしまう.

(via hstttht)

妙だと思ったひとは多いのでは。ドラッカーが愚痴老人なわけがない

(via chikuri)


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