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- ウルトラマンが泣いている - 本と奇妙な煙
成田亨
私が円谷コミュニケーションズ時代に、「マイティジャック」のビデオを出した際、解説書の表紙など、成田さんに原画を描いてもらいたかったのですが、
「円谷プロの人間が彼に会うべきではないし、彼も円谷プロからの依頼は絶対に受けないだろう」
と古手の幹部から言われたことがあります。(略)
発売元のバンダイビジュアルにお願いして、間接的に成田さんに依頼してもらいました。
(略)
[成田が円谷を訴えた]裁判は成田さんがあっさり訴えを取り下げるという形で決着しました。
(略)
実は裁判が始まって間もなく、水面下で、円谷プロのある幹部が成田さんに接触していました。彼は、
「訴訟を取り下げてくれれば、新番組で再び腕を振るってもらいたい。円谷プロにはあなたを受け入れる準備ができている」
と、持ちかけたというのです。成田さんがその言葉を信じて訴訟を取り下げたとたん、円谷プロ側は手のひらを返して、実際に仕事を発注することはありませんでした。
その後、円谷プロの何人かの幹部は、マスコミにインタビューされると、デザインは自分たちの功績であると平然と語っていましたから、傷心の成田さんをさらに苛立たせ、追い詰めたのは間違いないでしょう。
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