競合他社も出版社も、ベゾスはあこぎだと感じている。(略)
米国書店協会のタイチャーはこう指摘する。
「アマゾンだけ、ルールがまるで違うのですよ。ベゾスは本当のところ、本などどうなってもいいのです。本を目玉商品としてほかの商品を売っているからです。とにかく顧客をたくさん集め、なんでもいいから売れるものを売る。顧客をサイトまで連れて来られれば、あとは、すばらしい手腕で他の商品のマーケティングをするわけです」
(略)
低価格を実現するアマゾンの戦術に対しても不満の声が上がっている。アマゾンの影響力はすさまじいレベルになっており、アマゾンから卸売価格の引き下げ圧力が強くかかるせいで利益が出ないと出版社は言う。
(略)
大手チェーンも昔から出版社に圧力をかけ、仕入れの値引きを迫ってきたが、ベゾスはやり方がえげつない。要求した値引きが受け入れられないと、その出版社の本をアマゾンのサイトから外してしまうことさえある。「ワンクリック」ボタンや「ショッピングカートに入れる」ボタンを外す場合もある。
(略)
税金の問題もある。書店は、書籍の価格に加えて売上税を預からなければならない。(略)
判例により、オンライン小売業者の場合、売上税を課さなければならないのは、物理的拠点がある州に販売した商品のみとなっている。この判例を、ベゾスは、ワシントン州の人に販売した商品にのみ売上税を加えなければならない、と解釈している。ほとんどの州で売上税を徴収しないということは、アマゾンなら実質的に安く買える利用者が多いことを意味する。この問題は、ボーダーズやバーンズ&ノーブルのように、ほとんどの州に店舗を構えている書店にとって、オンライン販売の大きな妨げとなる。そのため書店側からは――一部の州からも――物流センターなど、なにがしかの物理的拠点がある州では売上税を課すべきだとの声が上がっている。(略)
[物流センターのあるテキサス州が税金を請求すると]
ベゾスは、税金を払うくらいなら物流センターを閉鎖すると反撃。
”- アマゾン蟹工船 - 本と奇妙な煙