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- 被害者の実名はどうして報道されなくなったのか? | プリンストン発 新潮流アメリカ | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (via jacony)
1つ私が強く感じるのは、これは昔の日本と現在のアメリカに共通して言えることですが、社会の中に「大変な事件で亡くなった被害者の遺族には、社会が一体となって礼節を示す」という「共通認識」がある程度確保されている(いた)ということです。
例えば、9・11の同時多発テロという事件の評価について、事後対応に関してはアメリカの中にも多様な意見があります。報復的なニュアンスの濃い戦争への賛否も分かれていましたし、事件の遠因には国際的な格差の問題があるという声も絶無ではありませんでした。
そうであっても、テロ被害者の遺族に対しては「故人は金融のエリートだったから遺族はカネには困らないだろう」などということを言う人はいなかったわけです。遺族に対する義捐金も、社会の広範な層から集まりました。
これに対して、ここ10数年の日本では、事件被害者の遺族に対する嫌がらせや無言電話などの行為が絶えないわけです。この問題が、こうした事件における実名報道を困難にしているのだと思います。
では、仮にそうした匿名の嫌がらせなどは、日本社会のモラルが崩れたからだという言い方で、例えば批判したり摘発すれば良いのでしょうか? そう単純な問題ではないと思われます。
事件被害者の遺族が、嫌がらせ行為などのターゲットになる本当の原因はもっと深いところにあるように思います。それは「社会の広範な同情を集めている」ような「有名な事件の遺族」と比較して、「無名」の自分はもっと不幸であり、もっと強い被害感を持っているという感覚です。
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